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弁護士が民泊新法・旅館業法徹底解説!① -民泊新法の注意点

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Stayway 編集部

トラベルライター

2018年前半に施行予定の民泊新法。インターネットでも多くの情報が溢れかえっていますが、あらためて弁護士の視点で、内容を整理・解説します。

民泊に関連する法令

 「民泊」とは、住宅(戸建住宅、共同住宅等)の全部又は一部を活用して宿泊サービスを提供することとされています(厚生労働省ホームページより)。

 これまでは、民泊の営業が法律上許されるためには、①旅館業法上の許可を得て行う場合、②国家戦略特別区域法第13条第1項(いわゆる民泊条例)に基づく認定を得て行う場合の2つに限られていました。しかし、一般の住宅で宿泊事業を行うにあたり旅館業法上の許可を得ることは簡単なものではなく、また、民泊条例についても当該制度を利用できる地域が一部(東京都大田区、大阪府等)に限定されていました。

このように、一般人が合法的に民泊を営業することに対するハードルは決して低くはなかったのです。

 一方で、急激に伸びている(主に国外からの)観光客の宿泊施設の確保の要請、不動産市場の活性化の要請から、民泊に対応するための法制度の整備が検討されていました。

 そして、平成29年6月9日に、「住宅宿泊事業法」(いわゆる民泊新法)が参議院で可決されました。現時点(平成29年9月8日時点)では未施行ですが、公布の日(平成29年6月16日)から1年以内に施行されます。

民泊新法とは?

 民泊新法について一言でいうと、

都道府県知事(一部例外あり)への届出により旅館業法上の許可がなくとも民泊営業が出来る

というものです。

 旅館業法上の許可を取るためにはいくつもの条件をクリアする必要があり、また、住居専用地域では許可を取ることができなかったのですが、民泊新法により「届出」をすることで住居専用地域か否かに拘わらず民泊営業を行うことが可能となります。

民泊新法の対象者

 民泊新法の規制対象となるのは、次の事業者です。

① 住宅宿泊事業者

 :住宅を民泊として貸出す事業者(民泊ホスト)のことです。

② 住宅宿泊管理業者

 :民泊ホストから委託を受けて民泊施設の維持管理をする事業者です。民泊代行事業者が該当します。

③ 住宅宿泊仲介業者

 :民泊の利用希望者と民泊ホストを仲介する事業者です。オンラインサイトを運営するプラットフォーマーが該当します。

民泊ホストに関する規制

 民泊新法に基づき民泊ホストとして住宅を貸出すにあたっては、次の規制を守る必要があります。

① 都道府県知事等への届出

 営業を行うにあたり、都道府県知事(又は保健所設置市等)に以下の事項について届出を行う必要があります。

・氏名、住所等の情報

・管理業務を委託する住宅宿泊管理業者の情報

・住宅の所在地、図面

・その他省令で定める事項

 なお、上記の届出は、インターネットで行うことが可能となる見込みです。

② 営業日数の上限

 民泊新法に基づく民泊営業は1年間に180日間が上限となっており、この日数を超えて民泊営業をすると、旅館業法上の許可が必要となってしまいます。

 また、営業日数の上限については、条例により独自の規定を定めることが認められていますので、注意が必要です。

③ 住宅宿泊管理業者への委託

 民泊ホストがゲストを宿泊させる間、当該住宅を不在とする場合、又は届出た住宅の居室数が省令で定める数を超過する場合は、原則として住宅宿泊管理業者へ委託することが必要となります。

④ その他の義務

 上記以外に、民泊ホストは次の事項等を守る必要があります。

・宿泊客との間の仲介を、旅行業者又は住宅宿泊仲介業者に依頼すること

・住宅宿泊事業の標識を掲示すること

・宿泊者の衛生及び安全の確保を図るために必要な措置を講じること

・宿泊者に対して、周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関して必要な事項を説明すること

・周辺地域の住民からの苦情および問い合わせに対する対応

・外国人観光客に対する外国語を用いた説明

・宿泊させた日数を届出先に定期報告すること

※これらの業務を全て民泊ホストが実施することが困難である場合は、管理業者への委託を検討することになります。

民泊営業の注意点

 民泊新法により、民泊営業がこれまでよりもやりやすくなることは間違いありませんが、それでもいくつかの点に注意いただく必要があります。

① 民泊営業が可能な住宅か

 ・分譲マンションの一室を民泊施設として使用するためには、当該マンションの「管理規約」を確認する必要があります。管理規約で民泊の営業が禁止されている場合は、民泊新法施行後も民泊営業はできません(営業すると規約違反となります。)。

・また、賃借している住宅を民泊施設として使用しようする場合、賃貸人(大家)の承諾がなければ無断転貸として賃貸借契約違反となる可能性があるので、大家の承諾が必要となります。

民泊営業を目的として住宅の購入・賃借を予定されている場合はご注意下さい。

② 営業日数が上限を超えないか

・民泊営業を目的として住宅を購入する場合は、民泊新法では営業日数に上限(最大で180日、条例により引下げられる可能性もあり)が定められていることに注意する必要があります。黒字にするためには180日以下の稼働では不十分となりますと、旅館業法の許可(又は民泊特区上の認定)を得る必要があります。

 既に述べたように、旅館業法の許可は地域によっては取得ができませんので、住宅を購入する前に営業計画を十分にご検討下さい。

③ 周辺住民との関係

 ここ数年間の間で民泊利用者は増加していますが、それに伴い宿泊者の迷惑行為などに悩まされる周辺住民からの苦情が増加していることも事実です。

 最近では、民泊利用者の行為によって他の住人が迷惑を被ったとして、マンションの所有者に対する訴訟が提起される等の事態も発生しております。

 民泊ホストの方又は民泊営業を検討されている方は、宿泊者そして周辺住民の両方に配慮した運営を心がけていただきたいと思います。

まとめ

 以上、一部ですが、民泊新法そしてご注意いただきたい点をご説明させていただきました。

 現在も、外国人観光客の数は増加傾向にあり、今後民泊の利用がさらに伸びていくことが予想されます。皆様が、新しい制度を上手く利用して民泊営業を行っていたければ幸いです。 

本記事の寄稿

荻原星治(おぎはら せいじ)弁護士
2006年京都大学法学部卒業、2009年大阪市立大学法科大学院修了。
2010年大阪弁護士会登録。かがやき総合法律事務所所属。

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